笑顔を届けるてんかん講師のリンカーン中村です。
「大丈夫?」
発作から意識が戻ると、多くの人がこのように声を掛けてくれます。
でも、この言葉で苦しめられたことがあります。
目の前の人の、表情や言葉によって、心が救われることがあるのです。
「大丈夫?」という言葉で、相手を苦しめる。
例えば、突然目の前の人が倒れたら、何と声を掛けるでしょうか?
おそらく多くの人が、「大丈夫ですか?」と声を掛けると思います。
もちろん、心配して声を掛けてくれるだけで、尊敬レベルの対応です。とても勇気のいる行動ですから、本当にありがたいです。
でも、このときに、”どんな表情で、何と声を掛けるか”によって、倒れた人の心に大きな影響を及ぼすことがあります。
意識が戻ったときに、周りの人が”どんな雰囲気だったのか”って、とても大切なんです。
ほんとは”大丈夫”なんかじゃないよ
僕の場合、てんかん発作で倒れて目が覚めると、そこには親や友達、救急隊員の人がいたりと、色んなケースがありました。
ある朝、家の洗面所で発作が出たときです。目が覚めると、自分の部屋の布団の上にいました。
目の前には、今にも涙がこぼれ落ちそうな表情で、心配そうに僕を見つめる母さんがいました。
そして「大丈夫?」と声を掛けてくれました。
このときの表情と言葉で、”自分が大丈夫じゃないんだな”というのがなんとなくわかりました。
実際、このときの僕はとても”大丈夫”ではありませんでした。
頭は鉛のように重く、顔も切れているようでヒリヒリする。おまけに、吐き気もありました。
何よりも”またてんかん発作が出てしまったのか…。”という気持ちの面でのショックがとても大きかったのです。
でも、「大丈夫じゃない。」なんて言えるわけがありません。
僕の目の前には、僕よりも”大丈夫ではなさそうな人”がいたのですから…。
「大丈夫?」が気持ちを追い込む。
目の前で人が倒れて、しかも、それが家族や知り合いだった場合、心配なのは言うまでもありません。
僕だって逆の立場だったら、心配で仕方ありません。
でも、表情や言葉で伝わってしまうんです。自分が”大丈夫ではない”ということが。
目の前の人が辛そうな表情をしていると、こっちはもっと辛くなります。
”自分のせいで…”
と気持ち的にも追い込まれてしまいます。
心配してくれる気持ちは、本当にありがたくて、嬉しいです。
でも、それがそのまま伝わってしまうことで、気持ち的にもさらに、追い込まれてしまうのです。
第一声は「大丈夫だよ。」
では、一体なんて声を掛けてあげればいいのでしょうか?
僕の経験上、一番嬉しかったのは、「大丈夫だよ」という言葉です。
初めてのてんかん発作が起きたときの話です。
意識が戻り、目が覚めたときには、救急車の中にいました。でも、僕はその状況を飲み込めず、パニックになり、必死に「助けてください!」と泣き叫んでいました。
すると目の前の救急隊員の人が、
「大丈夫ですからね。」
と優しく声を掛けてくれたのです。
この言葉で、僕は落ち着きを取り戻すことができました。
”…大丈夫なのかな?、……大丈夫なんだな。”と少しずつ、思えるようになっていきました。
しかし、このときの救急隊員の人は、本当に”大丈夫”という確信があったのでしょうか?
おそらく、倒れた原因も、怪我の状況も把握しきれていなかったはずです。
でも、「大丈夫ですよ」と言ってくれたことで、僕の心は救われていったのです。
あなたの表情や言葉で、心の痛みは和らぐ。
もし、あなたの目の前で意識を失って倒れた人がいたら、落ち着いて「大丈夫ですよ」と声を掛けてあげて欲しいと思います。
もし、あなたが心配で仕方がなかったとしても。
あなたの表情と言葉で、倒れている人の心をケアすることができるのです。
そして、その言葉の後に、「体にどこか痛みとか違和感とかある?」などの、体を気に掛けるような声を掛けて頂けば、いいかなと思います。
もちろん、出血していたり、見た感じで体に異常があれば、声を掛けるよりも、優先すべきことはあります。
それでも、周りの人がどんな表情や言葉で接してくれるかで、心が救われます。
あなたの「大丈夫だよ」という一言で、目の前の人を”大丈夫なんだ”と思わせて欲しいと思います。
最後までご覧頂き、ありがとうございました。
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「癲癇」と「転換」
どちらも読みは、”てんかん”。癲癇という病気の見方や考え方を、プラスな方向へ転換させたいという思いから、”てんかん講師”と名乗っています。
僕自身が、癲癇になって、人生が何度も転換していった。(悪い方へも良い方へも)そんな経験を伝えていきたい。#てんかん #ミレラボ
― てんかん講師 中村真二@6/8東京 6/29浜松,名古屋 (@nakamur809) 2019年4月20日
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