笑顔を届けるてんかん講師のリンカーン中村です。
僕の母さんは、リビングのソファーでよく居眠りしています。
それは、僕がてんかんになってからも変わりませんでした。
しかし、やっていることは同じでも、そこに大きな意味の違いがあることに、僕は気づけませんでした。
てんかんになり荒れ出す高校生活
高校1年のときに、てんかんになり、「いつ発作が出るのだろう…」というストレスから、徐々に僕の学生生活は荒れ出しました。
部活を辞め、毎日友達の家で遊ぶようになり、成績も100番近く下がっていきました。
夏休みには、髪を金髪に染め、耳にはピアスを開ける始末。
てんかんになったことで、なんちゃって不良へと変わっていきました。
今思えば、僕なりの現実逃避だったのだと思います。
いつもリビングで寝ていた母さん
放課後は毎日のように友達と遊んでいたことで、家に帰るのも23時を過ぎたりしました。
僕が家に帰ると、母さんはいつもリビングで寝ていました。
”部屋で寝ればいいのに。”
そう思い、声も掛けないまま、僕は自分の部屋へと戻っていきました。
しかし、そんな日が続いたある日、遅く帰ってくる僕を見かねた姉が、怒鳴りつけてきました。
「あんたね、もっと早く帰ってきなさい!」
「別にいいじゃん。関係ないよ。」
「いや、関係あるよ!なんで母さんがいつもリビングで寝てるのか知ってる?あんたが帰ってくるのを待ってるんだよ!
それでもいつも遅いから、そのままリビングで寝ちゃってるの!」
・・・僕は言葉を失いました。
「本当は心配で仕方ないんだよ!だけど、”そんなこと言ったら、迷惑掛けるから”っていつも言わないんだよ!少しは気持ちわかってやんなよ!」
姉の言葉が、グサグサと胸に突き刺さり、気がつくと、スーッと涙が溢れてきました。
本当は心配で仕方のなかった母さん
今まで母さんは、そこまで心配な素振りを見せることはありませんでした。
確かに初めててんかん発作が出て、救急車で病院に運ばれたときは、とても心配そうな顔をしていましたが、それ以来、そんな顔は見ませんでした。
暗い表情をすることもなく、むしろ今までと変わらず明るく接してくれていました。
日常生活の中でも、「薬ちゃんと飲んだ?」と声を掛けるくらいで、生活に制限を掛けることはありませんでした。
修学旅行で発作が出たり、友達とキャンプをしているときに発作出たりしても、外泊を禁止するようなこともしませんでした。
「案外、心配してないのかな?」
僕はそう思っていました。
そんな矢先、姉に言われた言葉で、僕は自分がとんでもない愚か者だということに気づかされました。
いつも明るく振舞ってくれていたことも、文句1つ言わずに遠くの病院へ連れて行ってくれたことも、日常生活に制限を掛けずに自由にさせてくれていたことも、
全て、僕に余計なストレスを掛けさせないためだったのです。
普通に考えれば、心配に決まっています。
自分の子供がてんかんになって、いつ発作が出るのだろうという不安を抱えるようになったら、毎日気になって仕方がないはずです。
出来ればなるべく家にいて欲しかったはずです。
それなのに、僕がどれだけ遅く家に帰っても、母さんが怒ることはありませんでした。
それは僕のことを1番に考え、どうすることが僕にとって1番いいのかを考えた上での決断だったのです。
どれだけ苦しい決断だったのか。
どれだけ勇気のいる決断だったのか。
考えただけで、涙が止まらなくなりました。
「母さん、ごめんなさい…。」
心の底から、申し訳なくなりました。
僕を支えてくれる存在
それから、友達と遊ぶ回数を減らし、家にはなるべく早く帰るようにしました。ただ、19時くらいに帰っても、母さんは相変わらずリビングで居眠りしていました。
”ただ眠かっただけじゃないのか…?”
そんなことを考えましたが、
「帰ってきたよ。風邪引くから部屋で寝なよ。」
と声を掛けてあげられるようになりました。
僕は、母さんの支えがあったから、道を踏み外しそうになっても、戻ってくることができました。
本当に感謝しています。
今の僕があるのは、母さんのおかげです。
強く当たるときもありましたが、それでも支え続けてくれたおかげで、前向きになれるようになっていきました。
あなたの支えを必要としている人がいる
もしあなたの家族や周りに、病気を持っている人がいたら、大変かもしれないですが、支え続けてあげて欲しいと思います。
その人には、あなたの支えが必ず必要です。時には、ありがたさに気づかずに、反発されることもあるかもしれません。
でも、あなたの支えがあるから生きていけるのです。
病気は1人の人間に襲いかかってきます。しかし、それと戦うには1人の力では足りません。
病気との戦いは、団体戦です。
家族や友達の支えがあれば、必ず病気を受け入れて前を向ける日がやってくると、僕は思っています。
どうか、どうか支え続けてあげてください。
僕が母さんのおかげで前向きになれたように、あなたの支えで前向きになれる日がやってくるはずです。
最後までご覧頂き、ありがとうございました。
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「癲癇」と「転換」
どちらも読みは、”てんかん”。癲癇という病気の見方や考え方を、プラスな方向へ転換させたいという思いから、”てんかん講師”と名乗っています。
僕自身が、癲癇になって、人生が何度も転換していった。(悪い方へも良い方へも)そんな経験を伝えていきたい。#てんかん #ミレラボ
― てんかん講師 中村真二@6/8東京 6/29浜松,名古屋 (@nakamur809) 2019年4月20日
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