公開:2017.09.26 更新:2019.07.21
笑顔を届けるてんかん講師のリンカーン中村です。
「なんで、講演をするようになったのですか?」
「なんで、ブログでてんかんのことを書いているのですか?」
自分の思いを発信し始めて、しばしば聞かれることがあります。
僕が講演やブログなどで自分の思いを発信するのには、2つ理由があります。
てんかんを持っているから、できること
僕は15歳のときに突然、”てんかん”という病気になりました。その日から、悩み苦しむ日々が始まりました。
・”どうしてこんな病気にならなれけばいけないのだろう”
・”なぜ、僕なんだろう”
・”この先の人生、どうなってしまうのだろう”
どんなに考えても答えが出ない問題に、心はすり減っていきました。てんかんの症状よりも、てんかんになってしまったことに対して、苦しんでいました。
しかし、ある日の「てんかんって、すごい個性だよね。」という友達の一言で、てんかんに対する考え方が少しずつ変わっていきました。
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それから、”てんかんを持っているからこそ、できることがあるはずだ”と、少しずつ考えるようになっていったのです。
その頃、「てんかんを持っている人が自動車を運転して事故を起こしてしまう」、というニュースがテレビから流れてきました。”自分と同じ病気を持っている人が、取り返しのつかないことをしてしまった…。”他人事とは思えず、胸が締め付けられました。そのときから、僕の中に、ある想いが生まれました。
”てんかんを持っている自分だからこそ、てんかんを持っている人のためにできることがしたい”
人の痛みを理解するには?
小学校5年生のときの出来事です。
放課後、保健室に行くと、隣のクラスの男の子が、右手を抱きかかえるようにしてイスに座っていました。そして「痛いよ、痛いよ」と全身を震わせながら、泣いています。近くにいた子に聞くと、鉄棒をしていたときにバランスを崩して、右手から落ちてしまったとのこと。
次の日、彼は右腕にギプスをして学校にやってきました。骨折していたそうです。
あの子が苦しそうに泣いている姿は、今でも覚えています。とても痛そうでした。でも、どのくらい痛いのかは、想像がつきませんでした。
僕は今まで一度も骨折したことがありません。なので、どんなに痛そうだと思っても、どのくらい痛いかは知りません。想像はできてとしても、想像の範囲から出ることはありません。
僕は彼に、「大丈夫?」と声を掛けることが精一杯でした。顔を歪めて苦しんでいる彼に、それ以外の言葉が見つかりませんでした。
このとき、人の痛みを知るには、自分がその痛みを経験しないといけないのだと、知りました。
てんかんの痛みを知る僕が伝えられること
てんかんになると、偏見や車の運転、人間関係など、様々なことと向き合わなければいけません。僕自身、ずっと悩み、苦しめられてきました。
でも、そんな僕だからこそ、同じようにてんかんを持っている人の苦しみが理解できます。
もちろん、人によって症状や治療法が異なるてんかんなので、完璧に理解するというのは、難しいです。それでも、何で悩み、どんなことが大変で、どんな言葉を掛けて欲しいのかは、てんかんではない人よりも、理解できるはずです。
理解できるからこそ、”自分と同じてんかんで苦しむ人を、これ以上見たくない”という想いも、強くなっていきました。
僕はてんかんになって、それを受け入れ、前向きに考えられるようになるまで、10年以上掛かりました。その期間は本当に苦しいものでした。”生きている価値なんてない”そんな風に思うこともありました。
てんかんで苦しんでいる人は、今現在も、そしてこれからもたくさんいると思います。そんな人たちに僕が通ってきた道を、少しでも安心に、安全に通れるようにしていきたいのです。
「そこ道細くなってるから、気をつけてね。」、「そのあたりは道が複雑だから、案内するよ。」
てんかんを持っている僕だからこそ、どんなことが待っているのか。そしてそれをどう考え、対処していくのがいいのかを、伝えられるはずです。
”てんかんで悩んだり、苦しんでいる人の力になりたい”
そうは言っても、僕は医者ではありません。病気の症状を軽くしたり、治療のアドバイスなどは行えません。
僕が伝えたいことは、てんかんになって経験し、感じてきたことです。てんかんに対する考え方や受け止め方に関しては、きっと誰かの力になれると思っています。
てんかんには嫌だと思えるところもたくさんあります。けれど、見方を変えることで学べることだって、たくさんあるのです。
それらを伝えることで、てんかんで悩む人が、少しでも前向きに生きて欲しいです。
僕は、自分と同じてんかんのことで、苦しんだりする人を見たくありません。
なぜなら、その苦しみは、まるで自分のことのように感じるからです。
てんかんはきっとなくなりません。でも、てんかんで苦しむ人を減らすことはできるはずです。
”てんかんで悩んだり、苦しんでいる人の力になりたい”
これが、僕が自分の思いを発信する、1つ目の理由です。
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「癲癇」と「転換」
どちらも読みは、”てんかん”。癲癇という病気の見方や考え方を、プラスな方向へ転換させたいという思いから、”てんかん講師”と名乗っています。
僕自身が、癲癇になって、人生が何度も転換していった。(悪い方へも良い方へも)そんな経験を伝えていきたい。#てんかん #ミレラボ
— てんかん講師 中村真二@6/8東京 6/29浜松,名古屋 (@nakamur809) 2019年4月20日
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